『放送大学共通科目 外国語科目 初歩のアラビア語('06) 〜アラブ・イスラーム文化への招待〜』(放送大学学園)
第11回「あなたの夢の国 〜結婚事情〜」
「「それでは、كيف حالكِ؟ ـも合わせて書いてみましょう。皆さんもご一緒に書く練習をなさって下さい」」…っていうか、いきなりبحやلحの合字を出してくるってのはいかがなものかなぁ…。
「「このبلد حلمكは今回学習するإضافةという構造で、“あなたの夢の国”という意味になります。إضافةの詳しい説明はポイントの処で行いますが、1つだけ説明しておきます。حلمكの3文字目のمに“i”を表す母音記号كسرهが付いています。これは、إضافةの後ろの名詞は属格のiになるからなんですね。最後のـكは接尾人称代名詞ですから、ـكはそのままで、その前の名詞が属格になります」」…おおっ、判り易い説明です。確かにいきなりإضافةに付いて説明されても判り辛いので、初心者には難しいかもしれませんが、母音が何故に変化するのか等について、細かく説明してくれる本講座は、これまでのNHK版の講座で解説されなかった部分に付いても重点的に押えてくれるので勉強になります。
「「では、スキットに参りましょう。前回は、ベイルートに住むمروانの家族に付いてお届けしました。今回は家族から離れて、日本に留学しているمروانが、レバノンにいる友人のليلىに電話をします。冒頭の部分で、電話番号も読み上げられますから、よく聞いて、前回習った数字が聴き取れるかどうか試して下さい」」…おおぅ! いい構成していますね! こういうの大好きですよ。では試してみましょう。「A「رقم تلفون ليلى؟ ـ」B「نعم. ـ」A「واحد ثلاثة تسعة ثمانية أربعة ستة سبعة. ـ」」…という訳で١٣٩٨٤٦٧。わはは、日本では繋がらない番号をちゃんと選んできましたね。(笑)
「「ماذا تقول! اليابان بلد حلمك، أليس كذلك؟ ـ」」…おーっ、أليس كذلك؟ ـという表現キター。たまたま偶然ですが、先日の『19歳』(スガ シカオ)の“歌える亜語訳”で使った表現ですね。実は予習嫌いな加藤は、放送大学のテキストを余り読んでいなかったりします(ダメじゃん…)。辞書で調べた表現だったのですが、そういうのが直後に講座に登場したりすると、少し嬉しくなります。
「「それでは、今日のポイントです。إضافةという構造を学びます。“AのB”という表現をする場合、英語では“of”という前置詞を用いたりして表しますが、アラビア語では通常そのような語は用いず、次のように2つの名詞を繋げて表します。بلد المدرس。最初の単語はبلدで“国”です。2番目の単語はالمدرسで“その先生”又は“〜教師”です。これで“その教師の国”という意味になります。この時、後ろの名詞によって、前の名詞が限定される事になり、このような構造をإضافةと言います。ここで、格の説明だけ少ししておきます。إضافةの後ろの名詞は通常、属格。母音記号がكسرهのiになります。المدرسの最後の文字سに付いている母音記号はكسرهでiになっていますね。では、إضافة構造に付いてです。まず、2つの名詞の順序は、日本語の逆になります。“その教師の国”と言う場合、日本語で後に来ている“国”のبلدを先に言います。そして次に“その先生”のالمدرسを言います。日本語とアラビア語は書く方向が逆なので合致しているように見えますが、逆なんですね。このبلد المدرسは“その教師の国”という意味で、所有の関係ですね。でもإضافةでは他の関係も表します。例えば次の2つの例をご覧下さい。上のものは読みはنهر النيلでنهرが“川”、そして2つ目のالنيلは“ナイル”です。これで“ナイル川”ですが、“ナイルという川”という事で、ここでは並列、若しくは同格を表します。また下のものをご覧下さい。1つ目がساعةで“時計”ですね。2つ目はذهبで“金”です。これで“金時計”。“金でできた時計”、つまり材質を表してるんですね。このように、所有の関係以外もإضافةは表しますが、最初に、後ろの名詞に、前の名詞が限定されると申しました。この意味は“ナイルという川”,“金でできた時計”,“その教師の国”というように、アラビア語で前の名詞が後ろの名詞によって限られてくる、という事です。ここで、では、名詞を2つ並べたら、すぐにإضافةになるのかと思われるかもしれませんが、そうではありません。次のような決まりがあります。まず、後ろの名詞だけが限定になる事が出来ます。限定名詞という事は、固有名詞,定冠詞が付いた名詞,接尾人称代名詞が付いた名詞等の事を言います。これは大切な事なのでよく理解なさって下さい。固有名詞,人名等でしたら、その特定の人は判っていますから、勿論、限定されていますね。定冠詞付きの名詞は、定冠詞によって“その…”という意味になり、名詞が限定されています。更に接尾人称代名詞も“あなたの…”や“彼の…”と、所有を表す訳ですから、その名詞が限定される事になります。إضافةの後ろの名詞だけが、これらの限定になる事が出来る、という事です。また、前の名詞は、後ろの名詞によって既に限定されている状態になるので、定冠詞や接尾人称代名詞は付きませんし、不定、即ち非限定を表すتنوينも付きません。普通は非限定ならتنوينが付く、と、言いましたね。でも、このإضافةの時は違います。例を挙げてご説明しましょう。قلم محمد。これは前の名詞がقلمで“ペン”という意味でしたね。後ろの名詞がمحمدという人名、固有名詞です。محمدはイスラームを説いた預言者محمدと同じ名前です。後ろの名詞だけが限定ですね。次の例です。موظف المطار。これは前の名詞موظفの“職員”が、後ろの“その空港”という名詞に限定されています。これで“その空港の職員”という意味です。“その空港”の読みはالمطارですね。前の単語は定冠詞も接尾人称代名詞も付いていないにも関わらず、語末の母音、即ちموظفの最後のفの母音はضمهで、ضمهのتنوينではありません。そして、後ろの名詞だけが定冠詞が付いて限定になっています。だからإضافةなんですね。最後の例です。دفتر أخيで、1つ目の名詞はدفترで“ノート”という意味です。次の部分はأخيで“私の兄”、でしたね。これも、前の名詞は定冠詞も接尾人称代名詞も付いていません。でも、後ろの名詞に限定されていますから、دفترの最後の文字のرにはضمهで、ضمهのتنوينではありません。後ろの名詞はـيの“私の”という接尾人称代名詞に限定されています。このように後ろの名詞は限定になる事が出来ます」」…重要なのでدفتريに取るつもりで説明をごっそり書き出しておきましょう。うむぅ、何でNHK講座はこういう説明をしてくれないんだ。凄く判り易い。でも、إضافةは重ねるとどうなるのか、まで、触れてくれるともっとありがたい気がします。
「「ここでもう1つ、إضافةの発音の注意をしておきましょう。تاء مربوطةの発音です。前の名詞がتاء مربوطةで終わっている時は、そのتاء مربوطةはtと発音されます。ご覧下さい。جامعة الهواء。これは前の名詞がجامعةで“大学”ですね。後ろの名詞がالهواءで“空気”という意味ですが、これで“放送大学”という事になります。前のجامعةはتاء مربوطةで終わっています。これだけだと普通はتاء مربوطةは発音していませんが、إضافةの前の名詞に、このようにتاء مربوطةが付いている場合、tと発音されます。ですから読みは、ja:miAtulhawa:となります。これは前回の接尾人称代名詞とよく似ていますね。接尾人称代名詞が、تاء مربوطةで終わる名詞に付くと、tと発音される事を学習しましたね」」…ただ、こちらの場合はスペルは変わりませんけれどもね。また、実際の会話では、إضافةであってもتاء مربوطةの発音が省略される事があるように見受けられます。
ثقافة「「Q.エジプトで結婚するのに 困難はありますか?」「はい。/お金が必要です。 それで結婚年齢は昔より遅くなりました。」「Q.結納は いくらくらいですか?」「生活レベルによって違います。 療家族の経済的な状況によります。/1万ポンドからはじまって 30万とか100万を超える場合もあります。/エジプトで階級はさまざまです。」」…مليون جنيه!؟ ـマジっスか!? 日本円で約20万〜600万円以上。ちなみにあちらではمئة جنيهあれば1日タクシーを乗り回せるし、贅沢をせずに軽い食事で過ごすならば数十程度で1日暮せます。なので、相対的な相場にすると、実際の為替の10〜数百倍の価値を持つので、100万は実質1億円近い価値にもなるという事。そりゃ箆棒(べらぼう)ですよっっ!!!!
「「では、今回は、最後に、皆さんに、楽しいリズミカルなエジプトの音楽をお届けしたいと思います。アラブの音楽にشعبي、庶民派と呼ばれる、地域に根ざした音楽のジャンルがあるのですが、エジプトのشعبي音楽の代表歌手であるحكيمさんのインタヴューと、彼の『アッサラーム』という曲をお聴き下さい」」…原題『السلام عليكم』。おバカなノリのミュージッククリップがイイ感じです。それはそうと、折角إضافةを学んだのですから、ここはموسيقى شعبي مصريと言って欲しかったかなぁ。
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